「入居者に出て行ってもらわないと売れないのでは」——一棟マンションの売却で最も多い誤解です。実際は入居者がいるまま売るのが標準的な方法で、立ち退き交渉は一切不要です。手順と注意点を解説します。
オーナーチェンジという売り方
入居者がいる状態のまま、所有者(大家)だけが変わる売却を「オーナーチェンジ」と呼びます。収益物件の売買では、これが最も一般的な形です。
法律上、賃貸借契約は建物の新しい所有者にそのまま引き継がれます。入居者の同意を取る必要はなく、契約を結び直す必要もありません。家賃・敷金・契約期間などの条件はすべてそのまま、大家の名前だけが変わります。入居者から見れば「家賃の振込先が変わった」だけです。
むしろ買主(投資家)にとっては、入居者がいる=買ったその日から賃料が入る物件です。満室に近い物件ほど高く評価されます。「空にしてから売る」は、収益物件では逆効果になることが多いのです。
入居者に知られずに進められる
売却活動中、入居者に知らせる義務はありません。実務上も次のように進めます。
- 販売図面は部屋の中の写真を使わない。 外観・共用部・空室があれば空室のみで作成します
- 買主の見学は共用部と空室のみ。 入居中の部屋に立ち入ることはありません
- ポータルサイトに載せない売り方を選べば、 入居者や近隣がネットで物件を見つけることもありません
入居者への通知は、決済(引渡し)が終わった後に「賃貸人変更のお知らせ」を送るのが通例です。管理会社に伝えるタイミングも、売買契約の目処が立ってからで問題ありません。
売却の手順
1. 資料の整理 — レントロール(賃借人一覧)、賃貸借契約書、修繕履歴、固定資産税の課税明細。これが揃っていると査定も売却もスムーズです 2. 査定 — 収益還元(賃料からの逆算)と積算(土地建物の評価)の両面で価格レンジを出します 3. 売却活動 — 未公開で買主候補に直接持ち込むか、範囲を広げるか。物件と希望時期で組み立てます 4. 契約〜決済 — 賃料・敷金の精算はここで行います 5. 入居者・管理会社への通知 — 決済後に新旧オーナー連名で通知します
引渡しまでの賃料は売主のもの
売買契約から決済までの間も、賃料はこれまで通り売主に入ります。決済日をまたぐ月の賃料は日割りで精算するのが通例です。また、入居者から預かっている敷金は買主に引き継ぐため、決済時に売却代金から差し引いて精算します。査定の段階でこの精算まで含めた手取り額を確認しておくと、後で数字が狂いません。
注意すべきは「賃料の中身」
オーナーチェンジで買主が最も見るのはレントロールです。相場より高すぎる賃料(退去されたら下がる)、長期滞納、使途不明の駐車場収入などは、価格交渉の材料にされます。売却前に賃料の中身を整理しておくことが、結果として一番の高値対策になります。
まずは資料2点で概算から
Figoでは、レントロールと固定資産税の課税明細があれば、オーナーチェンジでの概算査定を無料でお出ししています。入居者に知られず進めたい方は、その旨を最初にお伝えください。詳しくは一棟収益不動産の売却をご覧ください。
